コロンビア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航後:オンライン報告会」

1.報告会概要

(1)日時:2025年2月9日(日) 22:00~23:00

(2)会場:Zoomミーティング

(3)プログラム

  • 第一部 スタディプログラム紹介  高見 純平
  • 第二部 現地渡航者の発表  ジョーンズ ジェームズ 陸
  • 第三部 パネルディスカッション(敬称略)  鈴木 真代(ゲスト)、徳森 りま(ColSP参加者)、高見 純平(モデレーター)

2.発表内容

第一部 スタディプログラム紹介

スタディ・プログラムは約1年間のプロセスで、多様なメンバーと自主性を尊重して活動してきたこと、また、コロンビアで訪問した機関の一覧が紹介された。さらに、本年度コロンビアが訪問先として選ばれた理由とコロンビアの基礎情報についても紹介された。

コロンビアが選ばれた理由の一つとして、国連生物多様性条約第16回締約国会議(生物多様性COP16)が2024年にコロンビアのカリで開催されるなど、コロンビアのレジリエンスと平和構築が国際的に大きな関心事になったことがあげられる。また、コロンビアの基礎情報としては、国内武力紛争の変遷や、強制移動の状況、そしてコロンビアの豊かな生態系についての説明があった。

第二部 現地渡航者の発表

スタディ・プログラムのメンバーから、現地渡航を通じて得た気づきの発表が行われた。一番の気づきとして、単一の視点では国際協力や開発支援は語れないということが挙げられた。

数ある訪問先の中から、特に印象的であった二つの訪問先について紹介した。一つ目は、メデジンの先住民女性グループの訪問である。ここでは、文化の違いや差別を理由に伝統文化の希薄化や社会的孤立に直面している状況と、その改善に向けた取り組みについて学んだ。二つ目は、国連世界食糧計画(WFP)のオフィス訪問・プロジェクト視察である。これらの訪問から、緊急性のある人道支援と中長期的な社会経済的統合の両方について学ぶことができた。

3.パネルディスカッション

コロンビア在住歴6年であるアクセプト・インターナショナルの鈴木真代さんをゲストにお招きして、パネルディスカッションを行った。トピックは「現地から見たコロンビアでの国際協力について」である。

はじめに、鈴木さんからアクセプト・インターナショナルのコロンビア事業の概要についてお話しいただいた。また、元FARC構成員とその家族への支援の必要性についても説明いただいた。ColSP参加者の徳森りまさんより、2016年にコロンビアのアンティオキア県グラナダ市で海外ボランティアとして活動した経験や、スタディ・プログラムで改めてグラナダ市を訪問して感じたことなどをお聞きした。

パネルディスカッションでは、コロンビアの中でも地方自治体によって、外部からの支援が入りやすい地域とそうでない地域があったり、紛争影響地域の中でも、平和構築が進んでいるところとそうでないところに差があったりする、というお話が聞けた。たとえば、ガバナンスが整っている社会復帰キャンプに支援が集まる、といったことが生じている。

また、直近では米国国際開発庁(United States Agency for International Development:以下、USAID)からの支援の継続性に懸念がある中で、今後の各国からの支援についての期待や展望をお伺いできたことは非常に興味深かった。現在、米国からの支援は、主に人道支援とベネズエラの難民支援に集中しているが、この支援が途絶えた場合、誰がどう補うのかが、直近の懸念事項及び課題となっている。

近年、コロンビアの平和構築分野において、中国・韓国からの支援も増加しつつあるとのことである。ただ、各国からの国際協力には外交的な意味合いが感じられる側面もある。国際的な支援においては、働き方における文化の違いへの理解や、環境の保護、さらには現地のコミュニティとのバランスなど、様々に留意すべき点もあることが分かった。

最後に、移行期正義のイニシアティブが進展する背景についての質問に対しては、コロンビアでは2011年に被害者救済の法律が制定され、元戦闘員の社会統合を支援する政府の組織も存在していることが挙げられた。さらにその背景には、被害者やその家族、特に女性たちがデモなどを通じて声を上げてきたことがある。また、コロンビアはアカデミアの影響力が強く、海外の学術界からも移行期正義の一つの事例として注目されており、これらのことも移行期正義の推進や関連する法律制定の背景にある。

4.参加者所感

参加者からは、「一時間という時間の中で多くのことを学ぶことができた」「平和構築の現場に関するリアルなお話を聞けて非常に満足だった」などのお声をいただいた。限られた時間の中ではあったが、参加者のみなさんがスタディ・プログラムに興味を持っていただけたり、コロンビアの課題と解決策について考えを深める機会としていただけていたら、嬉しく思う。

写真①