コロンビア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航後:ColSPの経験とその活かし方(森重 守理)」
1. 参加動機
私は知人に紹介されて、コロンビアスタディプログラムを知りました。私は武力紛争の解決や平和構築といった分野の国際協力に関心があったため、様々な国際機関を訪問できるスタディプログラムに興味を持ちました。恥ずかしながらそれまでコロンビアについてほとんど知識がなかったのですが、調べてみると、コロンビアは長年続いた紛争に終止符が打たれたばかりだということがわかりました。コロンビアでは2016年に当時の最大の武装勢力との和平合意が結ばれ、現在も国内の平和を実現するべく様々な試みが行われています。私はそれを知り、ぜひ現場での平和構築の活動を見てみたいと思い、本プログラムに応募しました。
2. 参加してみて
コロンビアスタディプログラムでは、コロンビアの平和のために努力する様々な団体の方とお会いし、多角的な視点でコロンビアの平和構築を捉えることができました。例えば、戦争の記憶を遺すための記念館を訪問し、戦争の悲惨な記憶や、ご遺族の方の想いをうかがいました。一方、社会の和解を達成するべく活動する政府機関からは、元戦闘員の抱える課題や、彼らの社会復帰のために政府が取り組んでいることについてご紹介いただきました。
元々反政府武装勢力の一員として戦っていた方に直接お話をうかがう機会もありました。彼女たちは現在、事業を営みつつ他の元戦闘員たちの社会復帰のサポートを行っています。お話の中でも、個人的に特に印象に残っているのは、彼女たちの戦争の捉え方でした。コロンビアの戦争は、国内に生じていた経済面や政治面における圧倒的な格差に不満をもった農民たちが、政府に対して対抗するという形で始まりました。お話をうかがった元戦闘員たちは、武装勢力が戦い続けたことで、政府を交渉の場につかせることができたという意味で、意義のある戦いだったと語りました。私は、戦争が悪いことであると教えられてきて、今でも平和の実現に貢献したいと考えています。しかし、話をした元戦闘員たちは、平等とより良い社会を実現するために、戦うという手段を取っていたのでした。それに驚いた私は、自分が戦争の悲惨さに注目するあまり、実際に戦っている人たちが戦争を通して何を求めているのかまで考えが及んでいなかったことに気付かされました。改めて、戦争を絶対的な悪としてその価値観を押し付けようとするのではなく、武装勢力に入ってしまった人たちが何を求めているのかをまず理解しようとすることが重要であると感じました。
反政府武装勢力に加入する理由は多岐に渡ります。経済面や安全面の理由で入らざるを得なかった人がいれば、組織の目的に賛同して加入する人もいます。コロンビアでは、後者、すなわち反政府武装勢力の掲げる大義に共感して自発的に加わる人が多いそうです。私は渡航前にこのことを知っていましたが、実際に目の前の元戦闘員が、戦いに意義も感じていると知って驚き、戦争が誰にとっても絶対的な悪であると思い込んでいたことに気付かされました。より良い社会の実現のために、戦いという選択肢を取る考え方があることを忘れてしまっていたのです。その考え方の是非はともかく、現地に行き、様々な立場の人から直接お話をうかがったからこそ、視野を広げることができたと感じています。
3. 参加を迷っている方へのメッセージ
コロンビアスタディプログラムでは、実際に現場で活動している人たちに直接お話をうかがうという貴重な機会を得られます。さらに、スタディプログラムを通して共に活動した仲間との繋がりは、渡航後も貴重な財産となります。グローバルに活動してみたいと考えていらっしゃる方は、ぜひ参加をご検討してみてください。
