カンボジア・スタディ・プログラム - 第3章第2節第1項:アジア太平洋地域の食料安全保障について

第1項:アジア太平洋地域の食料安全保障について(FAOアジア太平洋地域代表兼事務所所長:小沼 廣幸さん)

実施状況

2012年11月16日(金)14:00~15:30、現地プログラム前のオプションプログラムの1つとして国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization:FAO)アジア・太平洋地域事務所バンコクオフィスにてFAOアジア太平洋地域代表兼事務所長の小沼廣幸さんからブリーフィングを受けました。参加者は、食糧安全保障に関して現在問題となっていることやFAOの取り組みについて学びました。

写真①
写真②

ブリーフィング内容:小沼 廣幸さんの発表

FAOとは、食糧への定期的アクセスを確保し、食糧安全保障を達成することを目的として設立した国際機関である。主に、①世界の食糧・農林水産業に関する情報収集並びに情報提供、②世界の食糧・農林水産業に関する政策提言、③食糧・農林水産業分野に関する中立的討議の場の提供、④開発援助(国連世界食糧計画等と協力して行っている)、⑤技術協力の支援、⑥自然災害や紛争後の緊急復興支援と多岐にわたる活動を実施する。アジア太平洋地域は、近年飛躍的な経済成長を遂げた。

ところが、このような経済成長によって、富める人とそうでない人との経済格差が広がってしまった。その結果、現在アジア太平洋地域には、世界人口の62%(約3分の2)もの飢えた人々が存在するに至っている。このような状況を改善させるためには、食糧生産量を増加させることが必要である。

また、食糧生産量を増加させるにあたっては、種々の制約があることに注意しなければならない。例えば、耕作地を広げることが困難であること、水資源の不足が深刻になっていること、農業投資額が減少していること、原油価格・食糧価格が上昇していること、これらの価格が安定しないこと、バイオ燃料の開発による悪影響など課題も多く残る。

写真③ 夜には小沼さん宅にお招きいただき、短い滞在ではありましたが素敵なバンコクステイを過ごすことができました!

CSP参加者の感想:岡見 有純さん

世界の食糧問題をとても広い視点から学ぶことができました。日本にいて、かつ、農業に携わらない私では貧困層に広がる食糧危機を考える視点を持つことは難しかったと思います。水の枯渇は学んだことがあってもその要因は自分の学んだ以上にあったなど既存の知識を更に深めることもできました。世界的枠組みからのお話でしたが、大きな問題こそ小さな成果を積み重ね、解決できるというお言葉がとても印象的でした。 今後は、視野の広がりや学びを深める姿勢をより求めて、世界と現場双方での視点から食糧問題を考えたいと思います。また、小沼さんの気さくで穏やかなお人柄に触れ、世界で必要とされる人がどんな人か知ることができたのは貴重な学びであったと思います。人と人が協働するための、とても大切な前提を教えていただきました。