カンボジア・スタディ・プログラム - 第3章第2節第6項:警察訓練支援の人身取引取り締まり強化プロジェクトについて

第6項:警察訓練支援の人身取引取り締まり強化プロジェクトについて(カンボジア内務省長官兼LEAPプロジェクト議長:Prum Sokha内務省長官)

実施状況

現地プログラム6日目の11月23日(金)午前9時~10時、カンボジア内務省にてソカー内務省長官によるブリーフィングが行われました。ソカー閣下は人身売買の取り締まりを強化するために警察の人材育成を行っている警察訓練支援(Law Enforcement Advancing Protection of children and vulnerable person:LEAP)プロジェクトに携わっておられ、当プロジェクトについての説明を受けました。人身売買等の犯罪に対して政府の行っている取り組みを学びました。

写真①
写真②

ブリーフィング内容:プルム・ソカー内務省長官の発表

1960年代から1990年代にかけて行われた内戦ではソカー閣下が「国のすべてを壊し、それは今でもいろんな所に残っている」というように大きな傷跡をカンボジアに残しました。建物のみならずカンボジア国民にも大きな心の傷を作り、ソカー閣下はだからこそカンボジアのあらゆる所から多くの事を学んでほしいと望んでいました。閣下自身は大人になってから英語を学ぶなど勉学に対する熱意がとてもあり、資源が乏しいカンボジアは今後人材育成が重要になってくるだろうと考えています。

LEAPプロジェクトでは人身売買の取り締まりを強化するために警察の人材育成を行っています。この様な犯罪が罪であるという事を国民に周知する必要性を指摘し、これら人権問題に対して法整備が必要であると強く主張していました。LEAPプロジェクトの前身にはUNICEFを始めとする国際機関の協力があったLEASETCプロジェクトがあり、継続的な取り組みの結果良い効果をもたらしているとのことでした。 内戦時にはほとんど断絶していた他国との関係も現在では改善すると同時に技術等も流入し国内の近代化が進んでいる一方で、人権問題を抱えています。家庭内暴力や人身売買は今もなお問題となっており、今後は教育の整備、警察による治安維持を国際機関と共に行っていきたいと述べていました。

写真③

CSP参加者の感想:亀山菜々子さん

どーん! と構えた内務省の王宮のような建物を目にし、その豪勢さに違和感がなかったといえば嘘になる。しかし現れた閣下は写真の通り穏やかな表情で、彼の口からは、その苦労話から導かれる彼の信念・価値観・国への想いが熱く語られた。教育、健康。私が常日頃感じていること思い返してもどれも深く共感ができる。国というものはこの社会に生きる個人がよりよく暮らしていくための機能だ(と思う)。その機能はこの国ではまだまだこれから。社会保険も教育もこれからだ。

しかし、過去の遺産を誰の責任かと問うても前には何も進まない。「やるしかない。ならば自分がそれを導こう」そんな覚悟を彼の一言一言がひしひしと感じさせた。そしてまた、人の重要さを改めて感じた。教養・誠実さを兼ね備えた個人が結局はすべての骨格になる。溢れるこの国のエネルギーを導き個人の生活がより改善されることを願う。