カンボジア・スタディ・プログラム - 第3章第2節第7項:カンボジアでの地雷問題と開発について

第7項:カンボジアでの地雷問題と開発について(JMASカンボジア事務所:渕上 浩美さん)

実施状況

現地プログラム6日目の11月23日(金)11時~12時、JMASオフィス内にて日本地雷処理を支援する会(Japan Mine Action Service:JMAS)カンボジア事務所の渕上さんからブリーフィングを受けました。JMASは、認定特定非営利活動法人としてカンボジア、ラオス、アフガニスタン、アンゴラにおいて地雷・不発弾処理活動を実施しています。本ブリーフィングを通して、JMASの取り組みや変わりつつあるカンボジアにおける地雷問題を学びました。

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ブリーフィング内容:渕上 浩美さんの発表

地雷埋設の記録がないため、位置は関係者からの情報、被害者情報、実地踏査から特定する調査によると、地雷は400~600万個、不発弾は270万個以上が残されている。1979年から2010年までの被害者数は63, 800人に上る。2005年~2006年にかけて被害者数が大幅に減少したのは、日本の技術提供、啓発活動及び、作業のスピードアップなどが要因である。地雷・不発弾汚染の影響としては、農地の減少・未活用や、生活インフラの未整備、地域開発等、民間投資の停滞といった問題が挙げられる。

JMASは2002年にNPO法人として、元自衛官が中心となりカンボジアで処理活動を始めた。2006年からは、地域住民を雇用し、訓練した上で除去活動に参加させる住民参加型プロジェクトを開始した。狙いは処理跡地利用による農業振興と企業誘致。処理後、実際に日本企業4社の誘致に成功した。今後の課題は、CMACの自立処理能力の向上と技術移転の推進と企業・NGOとの連携を強化である。また、2019年目標として、2019年の段階で被害者を100名以下にし、地雷・不発弾の危険を最小限とすることを掲げている。処理は手段であって、目的はその後の社会的・経済的発展である。日本は92年から処理支援を開始しており、支援総額は120億円以上に上る。地雷・不発弾処理における問題点として、予算の9割を国際支援に依存していることや、一体的な処理計画の欠如、処理担当者のモチベーションの低調がある。

CSP参加者の感想:石井 はるかさん

私は現在カンボジアに住んでおりますが、8年前に最初にカンボジアを訪れた頃に比べて地雷警告の看板を見かけることも非常に少なくなり、被害者数が減少していることなどから状況が改善されたような漠然としたイメージをもっておりました。また、地雷は私の職務において扱うことがなく非常に専門的な分野だと思っておりましたが、カンボジアの発展に伴い起こるようになった地雷の問題や処理後の土地活用、住民参加型プロジェクトの話などは私の扱っている分野との共通点もあり、開発に絡めてお話しいただいたブリーフィングは私にとりまして非常に有意義なものでした。

写真③