カンボジア・スタディ・プログラム - 第3章第2節第8項:クメール・ルージュ政権下のジェンダーに基づく暴力被害者を対象としたプロジェクトについて

第8項:クメール・ルージュ政権下のジェンダーに基づく暴力被害者を対象としたプロジェクトについて(CDPコーディネーター:Savorn Duongさん)

実施状況

現地プログラム6日目の11月23日(金)14時、プノンペン市内のBaitong Restaurantにてカンボジア・ディフェンダー・プロジェクト(Cambodian Defenders Project:CDP)についての理解を深めるべくブリーフィングが行われました。CDPコーディネーターのサヴォーン・ドンさんを講師に迎え、クメール・ルージュのもとで行われた残虐な暴行の被害者のケアをいかに進めるべきか、またこの事実を風化させないためにすべきことは何かについて話し合いました。

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ブリーフィング内容:Savorn Duongさんの発表

CDPの概要の説明として「ジェンダーに基づく暴力」(Gender Based Violence:GBV)についてのプロジェクトやその活動についてご教授いただき、被害者に対しての法的、また精神的サポートからアウトリーチの方法まで理解を深めることができました。その中で2006年までクメールルージュ内でのGBVが疑われなかった理由としての「モラル・オフェンス(Moral Offence)」の存在について学びました。モラル・オフェンスとはクメールルージュ内で取り決められた男女の接触を徹底的に廃するという一つのルールです。この存在よりクメールルージュ期のGBVが組織的犯行であるという裏付けを得ることが難しくなっています。

CDPの大きなねらいはクメール・ルージュ下での被害者を支援し、またその問題に対しての人々の意識を高めることであり、その際また被害者の意見を尊重することが必要不可欠です。また、審議についてはまだ見通しが立っていないがしっかりコミットしていくこと、そして援助を募る方法としては出版物などの広報活動、男性に向けたフォーラムの開催を挙げられました。

CSP参加者の感想:池田 孝志さん

このブリーフィングで、最も印象に残ったことが、1つのパンフレットを見たことです。その中には、過去、男性が女性を性奴隷のように扱った、残酷なイメージ写真が掲載してありました。そのイメージ図見た途端、そのページを閉じたほど、あまりにも辛辣なものだったことを今でも覚えています。“男性と女性”、本当は、お互いに存在するからこそ、お互いが生きることが出来る。だからこそ、理解し合い、尊敬し合い、想い合うべきだと思います。

しかし、クメール政権下にあった時、カンボジア女性たちは女性であるがために、心に癒すことのできない傷を、こんなにもというほど背負わせられました。性別、国籍、文化、肌の色の違いを超えて、想い合えるのが、わたし人間だと思います。また、遠い距離で離れた人と、会ったことのない人とでも、わたしたちは想うことで、こころ同士で繋がることができます。だから、人のこころの痛みを自分の痛みに感じられるのだと思います。わたしたちは直接、このような残酷な経験を体験したわけではありません。また、被害にあった方々にすら会ったこともありません。しかし、人間の心を持ったわたしたちは、このことについて、何かを感じることができるのではないでしょうか。

写真③