ミャンマー・スタディ・プログラム - 参加者紹介「第18回 山下星夢さん」
「アプローチ・現場・自分の役割を知る」
所属:立命館大学国際関係学部グローバルスタディーズ専攻4年
MySP担当班:研究・保険班
「世の中不公平だなぁ。」
2012年に初めてインドへ行った際、私はこう思いました。インドではカースト制度に根付いていた世襲制や内婚性により、未だに貧困から抜け出す機会を持てずにいる人々に出会いました。日本で生まれ育ち高校でアメリカへ留学したものの、ほとんどを先進国と呼ばれる国で過ごし、個人の努力次第で生活を改善できるという概念しか持っていなかった私にとってそれは衝撃的な経験でした。日本では、親からの仕送りをギャンブルに使って遊ぶ金銭的に裕福な学生もいます。しかし、インドでは生きるために毎日休み無く働く自分より若い子供たちがいました。そして、両者の生活状況はとても彼らの努力に相当しているとは思えませんでした。この事実を自分の目で見て感じたとき、世の中に存在する「機会の不公平・不平等」を私は認めざるを得ませんでした。それがきっかけとなり、将来この機会の不平等の解決に寄与する仕事をしたいと思うようになりました。
日本に帰ってから、大学で国際開発・特に貧困問題について本格的に勉強し始めました。そして、貧困の継続性はインドだけでなく先進国や国内の雇用主から搾取され続けてきた他の途上国の人々にも同じように存在することや貧困問題に対するアプローチには様々な種類・レベルのものがあることを学びました。同時に、勉強すればする程貧困の解決に対して自分に何ができるのか・何がしたいのかがわからなくなりました。国際開発・貧困問題における自分の「役割」がわからないまま進路を決めることに違和感を覚え、内定を頂いていた企業に辞退とお詫びの連絡を入れ就職活動をやめました。そして休学による1年間で、開発や貧困問題に対して自分がとりたい役割や距離感を明らかにすることを決意しました。そのために、貧困問題への「アプローチ」と「現場」について学ぶことを決めました。
開発セクターでも民間による力が台頭してきていることを知り、援助や寄付に頼らないビジネスの自立性と持続可能な力に関心を持った私は、比較的新しい概念であり「アプローチ」であるソーシャルビジネスを学び始めました。そして大学の専攻で共に国際開発を学ぶ留学生の友人4人とYunus & Youth Social Business Design Contestに参加しました。三度のワークショップ、予選・本選のプレゼンテーションを経て、ムハマド・ユヌス氏をはじめとする審査員の方々から光栄にも最優秀賞に選んで頂くことができました。そして今年メキシコで開催されるGlobal Social Business Summitにて自分たちのソーシャルビジネスのアイデアを発表させて頂く機会もいただきました。
ミャンマー・スタディ・プログラム(MySP)に応募した理由は、開発の「現場」を知るためです。国連などの国際機関が行うプロジェクトに現場レベルで携わる人々は何を考え、どのように実施しているのかを自分の目で見たい。そして、それに対して自分がどのように感じ、考えるのかを知りたいと思ったからです。この活動を通して、同じような興味関心を持つ学生・社会人の方々に出会う事ができ、自分に無いものを多く学ばせて頂いています。MySPを通して、より良い世界を望み行動に移している素晴らしい仲間に出会えただけでも自分にとって非常に大きな財産だと確信しています。
また「現場」に関して、私は現在JICAの短期ボランティアとしてザンビアで農家の生活改善に取り組んでいます。ここで学んだこともミャンマー・スタディ・プログラムでの活動に活かしたいと考えています。
今後の活動を通して、貧困問題・機会の不平等の解決のために果たして自分には何ができるのか・何がしたいのか、という問いに真摯に向き合っていきます。明確な答えを見つけることは難しいと思いますが、走りながら考えるというスタンスでこれからも突っ走って行きます。インドで出会った貧困に苦しむ人々も、生活に困るザンビアの人々も、先進国の人々も、日本人も、私は世界中の人々が平等に大好きです。だからこそ、特定の人々の機会を制限する貧困問題を解決したいと思っています。現在持つこの思いと今までの経験を大切にし、近い将来大きなインパクトを残せるよう尽力したいと思います。