ミャンマー・スタディ・プログラム - 振り返りエッセイ「No.10 佐藤曉浩」
「追い続けるということ」
所属:九州大学
現地渡航中は、訪問する場所の活動に関わる人々が「開発・発展ということに関してそれぞれどのように考えているのか」、そして、そこに対して自分は「何をしたいと強く感じるのか」を考えていました。今回の渡航では、密度の高いスケジュールの中で、様々な立場の人々の話を伺いました。村の発展のために子供たちの教育に力を入れ始めたというミャンマー北部シャン州奥地の学校委員会の長、国連で働くミャンマー人と外国人、子供たちのための市民教育に力を入れるミャンマー政府関係者、ヤンゴンの側に住んでいながらどこの機関の支援も受けていない人、市場・生産拠点としてのミャンマーに着目する外国のビジネスマン、などなど。当たり前のことですが、それぞれの考える開発の定義や支援の優先度があるということを、複数のアクターと同時並行的に出会うことで再確認出来ました。
また、こうした多様な人々を見ていると、国家の枠組みや、国内での開発の速度の平等性についても考えされました。これからの時代では、国家間格差は縮小するものの、国内格差が拡大していくと言われています。そのような中で、不平等を無くすために努力することは正しい方向性でしょう(不平等の存在が経済システムに織り込まれている現実はありますが、その絶対的な水準が変化することは可能であると考えます)。一方で、何でもそうだと思いますが、努力することが本質ではなく、本当に求められている点にどこまで近づいた結果を出せるかが重要だと感じました。そして、そこで忘れてはならないのが、先程述べたような、「多様な人々それぞれにとっての開発や成長の目的・目標をとことん追求すること」だと思います。更に、そのためには自分達の所属する世界(国際協力・ビジネス・政府系、など)の枠組みだけにとらわれず、そこでできることと他ができることをどう掛け合わせていくのかを、常に考えることが不可欠だと思います。但し、付けざるを得ない優先順位を本当にどのように付けていくべきなのかはまだ見えません。特定の課題の存在する地域にあらゆるスキルやリソースを持った組織が当たれる訳ではない以上、そこには都合と都合のぶつかり合いも必ず存在すると感じます。持つ物が多く異なる者同士のそのぶつかり合いをどのように乗り越えていくのか、この点も追求していきたいです。
全2週間の滞在期間では、経済学者のマーシャルの述べた”Cool head but warm heart”ではないですが、数字だけではない理想を追求し、足掻くことの出来る人間であり続けたいという気持ちも再確認しました。74歳になっても人権と教育のために政府関係機関で汗を流されていた方たちとヤンゴンで出会い、自国の発展に関する理想を聞いた時、彼らとも同じ次元で議論するだけの知見、そして彼らと共に歩むための情熱を持ち続けたいと、そう思えたのです。
おわり