ルワンダ・スタディ・プログラム - 報告書「2.15.国際連合世界食糧計画(WFP) 農村開発」

写真①
写真②

1.訪問先

WFP Rwanda(農村開発プロジェクト)

2.該当テーマ

IT/経済・産業/農業

3.組織概要(事業目的、ゴール等)

〈WFPミッション〉

国連の人道支援機関では最大規模。2015 年には世界81 カ国で約7,670 万人に対し,約320 万トンの食料を配布するなど約41.2 億ドル相当の支援を実施。

  1. 食料配布(General Food Distribution):自然災害や紛争などにより深刻な食料・栄養不足にある人々への食料配布
  2. 成長や教育を目的とした食料支援(Food for Growth):学校で給食や家に持ち帰るための食料を提供し,子どもたちの就業率と学習能力を高めることを目的とした事業や,乳幼児や妊娠・授乳中の女性などへの栄養強化のための食料配給
  3. 労働・職業訓練の対価としての食料支援(Food for Work/Food for Training):地域社会の自立を促すことを目的に,生活するうえで必要な社会インフラを整備するプロジェクトに参加したり,職業訓練を受けることに対する見返りとして食料を配給
  4. 小規模農家の生産性向上のための食料支援(P4P: Purchase for Progress):食料の現地調達を通じて小規模農家の市場アクセス改善と農業市場の開発を支援
  5. 特別事業:交通インフラの整備など円滑な食料その他人道支援物資輸送を目的とした事業

〈WFPルワンダ事務所のミッション〉

政府や民間等と連携し、ルワンダの食糧安全保障を確立すること

  1. Protected Relief and Recovery Operations(難民等に対する支援)
  2. Country Programme (農業開発を含む6つのプロジェクト)

4.ブリーフィング、プロジェクト訪問において説明された内容・質疑応答の詳細

〈プログラム内容〉

Farm to Market Alliance

【概要】

  • 小規模農家のために需要を増やすことが目的。WFPは、4カ国ほどで現在プロジェクトを行なっている。
  • ルワンダにおいて、多くのプレイヤーと連携し、最終的にはWFPの支援がなくとも小規模農家ならびにアグリビジネス企業双方にとって収益の上がるビジネス関係を構築することが目標。WFP、 AGRA、 GROWAFRICA、 農業資材会社,、Rabobankなど(8 Global Partners)と協力。農家に対してもオーナーシップを持たせている。
  • 小規模農家の人にフォーカスすることで、農業資材、金融ビジネスが繁栄しうる、その仕組み作りを目的にしている。特に、もっとも貧しい農家が多い、トウモロコシにフォーカスしている。トウモロコシは品質等級と水分量で価格が決まる。ルワンダにはハイネケンの工場やベビーフードの工場ができ、トウモロコシの需要が非常に高くなっている。小規模農家にとって、この条件を満たす品質のものを育て、絶えず変化する市場のニーズに合わせていくことは容易ではない。そのため、需要をしっかり農家に伝え、理解させることが重要。
  • 結果として、2016年の調査段階では、9%の収量の増加、Net Incomeも約50%増加。

〈質疑応答〉

Q:既存の仲買人との競合、影響はないのか?

A:あると思う。ただ、WFPには特に利益がないので、だからこそ中立な立場で事業が実施できると考えている。

Q:農協等と衝突しないのか?

A:組合員との連携や経営能力が弱い農協とはパートナーシップがうまくいかない可能性はある。したがって、スクリーニングには非常に時間をかけている。特に大きな農協と組む際には特に気をつけている。(平均200, 300の小規模な農協と組むのが主。)

Q:WFPが撤退しても農家と市場がつながるための出口戦略は?

A:トレーニング等を通じて基本的な営農・農協運営能力が養われた後は、買い手ならびに金融機関との契約交渉を支援することが次のステップだと思う。ある農家は独自契約を結ぶことを志向しはじめ、実際にそうなっていった。3-5年を目安に考えている。

5.参加者所感

WFPのプロジェクトに参画している農家のご自宅を訪問し、農家の方が、WFPのプロジェクトのおかげで収入が増え、子どもの教育費を賄うことができていると満足そうに話す姿が印象的だった。しかし、プロジェクトに参画してから収入が大きく増えるためには長期的な協力関係を農家と市場が築いていくことが重要だと感じた。

また、農業×ITが現場でどのように取り入れられているかを視察した。農協のメンバーのデータをパソコンで管理しており、農協メンバーの担当者は、マネジメントが簡易になったと話していた。しかし、まだITを活用できる余地は多くあると感じた。