ルワンダ・スタディ・プログラム - 報告書「2.6.REACH(Reconciliation Evangelism And Christian Healing for Rwanda)」
1.訪問先
REACH (Reconciliation Evangelism and Christian Healing)
2.該当テーマ
紛争後正義、平和構築、和解
3.組織概要(事業目的、ゴール等)
ルワンダで起こったジェノサイドの加害者であるフツ族と、被害者の多くを占めるツチ族の間の和解を促すため、多くのプロジェクトを行っているNGO団体。創設者のカリサさんは自らも難民キャンプで育ち、REACHのプロジェクトを通じてこれまで多くの被害者・加害者が和解するのを目撃してきた。活動理念として、被害者・加害者ともにジェノサイドの悪夢から解放されること、そのため「被害者」「加害者」という垣根の中にとどまらず、「ルワンダ人」として共によりよい未来を作っていくための「謝罪と赦し」を非常に重要視している。そのための具体的な活動として、被害者と加害者の対話や「償いの家」プロジェクト(後述)などを実施している。
4.ブリーフィング、プロジェクト訪問において説明された内容・質疑応答の詳細
ジェノサイド中に壊されてしまった被害者の住宅を加害者が修築・建築することで両者の和解を目指す「償いの家」プロジェクトを訪問した。
まず、キガリ市内のREACH事務所へ訪問し、活動内容や歴史についてブリーフィングを受けた。上述のとおりREACHはツチ・フツの和解を目的として設立され、活動を行ってきたが、近年はこれに加えて紛争後の草の根レベルの和解をサポートする活動を行っているという説明があった。
アプローチ方法について:対話を通じた和解、共同作業により信頼関係を構築など。また、訪問者が加害者に質問することは、彼らが考えるきっかけになるため、大切な活動のひとつ。
キリスト教との関係について: 人を殺すことが「命令」であったため罪の意識がない加害者に対し、人は神の創造物であり、これを殺すことは罪であると教え、考えさせる。
また、事務所はホテルやレストランも運営しており、収益は活動費に充てられる模様。
事務所の立地はとてもよく(丘の上で眺めがとても良い)、またホテルも綺麗だった。
5.参加者所感
- REACH訪問を通じて、自らの出自を理由に殺されてしまったツチ族だけではなく、政治的思惑に翻弄されてしまったフツ族もジェノサイドの被害者であることを実感できたと共に、日本人として、彼らの和解プロセスにどのように貢献することができるのか、考えるすばらしい機会になった。
- REACHのプロジェクトでは両者が互いに顔を見せ合い過去と向かい合いながら必死で「赦す」「赦される」ために一つずつレンガを重ねていました。なんとこの労働力は無償。自分たちも殺さなければ殺されていた状況の中で生き抜き、しかも加害者として差別を受けながらも必死で自分の犯した罪と向き合う人たち。そして自分の家族を目の前で無惨に殺した人に赦す、という愛を施そうとする人たち。ひとりひとりの瞳には殺害者でも、被害者でもなく温かい人間のものでした。