USPブログ⑲ - オンラインブリーフィング開催報告⑤
みなさんこんにちは。USPでは、オンラインにてウガンダで活動されている機関や団体、専門家の方々からお話を伺うオンラインブリーフィングを、9月より実施しています。難民、人権、教育、経済、環境の分野に分けて仮説や質問をメンバーで考え、思考を深めてからブリーフィングに臨み、その後も振り返る機会を設けています。
12月前半はウガンダで実際にプロジェクト運営を行っている専門家の方からのブリーフィングが多くありました。そちらの様子をレポートいたします。
①あしながウガンダ「エイズ孤児の支援内容について」 今村様、佐藤様、ロナルド様
「あしながウガンダ」は2001年に設立されたウガンダ共和国で活動する現地NGOで、エイズで親を亡くしたエイズ遺児約800人の支援を行っています。エイズ遺児の心のケアを目的としたウガンダレインボーハウス(2003年設立)、あしなが寺子屋教室(2007年開設)は、現地における遺児救済活動の拠点となっています。ブリーフィングでは、識字教育や奨学金事業等の現地での活動、Covid-19の影響に関して質疑応答を行いました。
★★参加者の声★★
リーダー育成事業の中でも、親を亡くした子供たちの心理的ケアが重点的に行われていることが印象的でした。また、実際にあしながの奨学金制度を利用して日本へ留学したロナルドさんのライフストーリーをお聞きすることができたのも貴重な機会でした。食料の確保や電気のない生活に苦しんでいた中でこのコミュニティに出会い、寺子屋での教育と留学を経て、自身がウガンダの子供たちのロールモデルになるという強い意志を持っているとのことで、私たちもロナルドさんの思いや生き様からたくさんの刺激を受けました。
②世界銀行「地方行政プロジェクト、ガバナンス分野の支援について」ガバナンスユニット ウガンダ担当 松浦様
世界銀行は、各国の中央政府または同政府から債務保証を受けた機関に対して融資を行う国際機関です。当セッションでは、松浦さんの経歴・世銀という立場でのお仕事・ウガンダでの業務内容・ガバナンス分野の支援、以上4つをメインテーマとしてブリーフィングを行いました。
ガバナンスの専門家という立場として政府や地方行政を相手にプロジェクトを実施していくことが松浦さんの主な業務で、世界銀行で働くことの最大の魅力は政府の政策決定の一助を担えるところであるとおっしゃっていました。実際にウガンダでは各省庁と協力し、教育、保健、環境、農業の4つの分野でのプロジェクトを展開しています。
プロジェクトの展開にあたっては、主体となっているメンバーのほかに、ウガンダのカントリーオフィス、調達、法律、会計士等の各専門家約25名が1つのチームを組み、プロジェクト形成、政府との協議、融資文書の作成、ドナーとの協議を行っていくそうです。一番大変な業務は世銀内部での調整で、1年ほどかけて事業内容やリスクマネジメントを確立し、理事会での承認、ウガンダ政府の承認を経てようやく実施に至るそうです。
質疑応答の時間では、松浦さんの経歴にちなんだキャリア形成のお話や、世銀で働く方のバックグラウンド等の質問が多数挙げられ、参加メンバーにとって世銀の知識のみならず、自身のキャリアについて見直す有意義な時間となりました。
③ピースウィンズ・ジャパン「新規流入難民に対する緊急支援について」ウガンダ事業担当 山崎様
ピースウィンズ・ジャパンは、「必要な支援を必要な人に」をテーマに支援を行っている団体で、受入コミュニティに対しても支援を実施し、コミュニティ全体としてのレジリエンスを強化しているのが大きな特徴です。ウガンダでは、南スーダン難民の流入をうけて2016年に支援開始し、給水・衛生事業を展開しています。現地住民と積極的に会議や調査を行い、モノの支援だけでなく生計向上につながる持続可能な支援を望む住民側の意見を吸い上げ、活動につなげていく姿勢がとても印象的でした。
★★参加者の声★★
お話を聞く中で、複雑なバックグラウンドを持つ難民たちと接するときにどんなことに気を付けているのか、限られた予算の中でいかに新規事業の立案・運営を行い、ロジカルに展開していくのかを深く細かく考えておられる点が印象に残りました。大学院時代の学びや過去の事業での学びを上手く現在の業務に生かそうと心がけているという姿勢にはとても説得力があり、お話を聞かせていただいたメンバーにとっても、大事な教訓となりました。
【12月前半のハイライト感想】
最後までお読みいただきありがとうございました。私にとって、オンラインブリーフィングは「ウガンダで行われている国際協力事業の今」を知ることができる機会であると同時に、自身のキャリアや学びの姿勢について見直すことのできる貴重な時間です。12月後半、1月と、オンラインブリーフィングが続いていきますが、自分の軸と仮説を持って、各セッションから1つでも多くの学びとモチベーションを得られるように準備していきたいなと思っています。次回のレポートをお楽しみに!(うめ)