USPブログ⑱ - ウガンダ・スタディ・プログラム 第六回勉強会レポート

みなさんこんにちは。USPでは12月11日㈮に、「環境」をテーマに勉強会を開催しました。

ゴミ問題・自然保護と経済活動の両立・野生動物と人間の共存の3つを軸に知識のインプットを行い、実際にウガンダやアフリカ近隣諸国であった事例をもとに議論を行いました。実際に「誰」が、「どのような」支援を、「どのくらい」の規模で行っているのかを知ることができ、環境問題全体に関する関心と知識が深まる勉強会になりました。

【①ゴミ問題】~世界のトレンドは「リサイクル」ではなく「サーキュラーエコノミー」~  

私たちUSPが研究しているウガンダでは、近年の急激な人口増加に伴いゴミが増加しました。2017年のKampala City Council Authority (KCCA)の調査によると、首都カンパラ市内にある227のゴミ捨て場のうち、公式な廃棄所は17%にとどまり、その他は非公式収集所及び不法投棄場が占めています。廃棄物の処理・循環のシステム構築に向けて、民間会社とも役割を分担し処理を進めていますが、ごみの増加量に追い付いていないのが現状です。

ゴミ処理に対する世界的枠組みが最初に締結されたのは1989年のバーゼル条約です。国連環境計画(UNEP)と経済協力開発機構(OECD)で採択され、有害廃棄物の国境を越える移動等の規制に関する国際的な枠組みとして168の国と地域で適用されました。規制によってゴミの輸出は減少した一方で、プラスチックを例にとると、依然として8割以上がリサイクルされず海洋流出や埋め立てに使われており、問題の根本解決には至っていません。

そんな中、現在世界のトレンドになっているのが「サーキュラーエコノミー」のシステム作りです。リサイクルの促進を行いつつも、そもそものごみの発生を減少させることを意味しており、エネルギー・建築・製造といった分野での廃棄物処理を各国が進めています。日本でも2020年7月にレジ袋の有料化が始まりましたが、これもサーキュラーエコノミーの一つです。世界に目を向けると、既に70か国以上で有料化・禁止令等が実施されています。

ウガンダは他国と比べてスタートアップビジネスが盛んなのが大きな特徴であり、ゴミ処理の分野でも多くの活動が展開されています。廃棄携帯電話から新たな携帯電話を作り出すClosing the loopや廃棄プラスチックから建設資材を作るTakataka Plastics等の活動が例として挙げられます。「ゴミを拾って生計を立てる」のではなく、「ゴミを活用して生計を立てる」社会の実現に向けて、民間からゴミ問題の解決へアプローチする「ウガンダモデル」に今後も注目していきたいです。

【②自然保護と経済活動の両立】~「カエル」を守るのか、「電気のある生活」を勝ち取るのか~  

現在アフリカ地域では、人口増加に伴う人間の生活圏の拡大やそれに伴う環境汚染によって、従来の自然環境が失われつつある点が自然環境保護の専門家から指摘されています。国や地域によって、あるいは個人によって、優先する価値観が大きく異なりますが、「自然保護」と「経済活動」をどう比較してどのような行動をとるべきか、様々なケースで議論がなされています。今回の勉強会では3つのケースを取り上げて学びました。  

そのうちの1つはダム建設の事例です。当該地域(地方部)の電気普及率はわずか2%で、現代的な生活を行うため、電力の確保が経済的な観点で大きな課題でした。そのため世界銀行からの融資を受けて水力発電を行うためのダムを建設することになりましたが、ダム建設によって絶滅危惧種であるキハンシヒキガエルの生活環境が失われることが懸念されていました。ディベートでダム建設推進側とカエル保護側それぞれの立場になってメリットデメリットを考察し、まとめの時間では事前アセスメントのルール策定や最大限の学術知識や技術を利用した共存案等を話し合いました。  

その他にも、「油田発掘による経済発展vs国立公園の生態系への影響」「野生ゴリラの保護vs原住民の立ち退き令」の問題も取り上げました。どの議論においても、生態系に変化を生む負のインパクトと経済発展で生活水準向上を生む正のインパクトが論点となり、非常に頭を悩まされる時間でした。答えのないテーマではありますが、「様々なケースを想像した議論を行うこと」「視点を多く持つために知識を蓄えること」「経済活動と自然環境は密接に結びついていること」を実感することができました。

【③野生動物と人間の共存】~動物保護は先進国が作り出した価値観なのか?~  

動物と人間の関係のなかで、まず挙げるのは「人間への見世物としての動物」です。アフリカの観光業における主役は野生動物たち。手つかずの自然が残っており、動物の種類が豊富なアフリカには、交通手段の発達により世界中から多くの観光客がやってきます。鉱物資源や工業が盛んでない土地では特に重要な収入源であり、生まれたすぐ後から調教され、痛みや空腹への恐怖を利用して主従関係を構築します。動物愛護、動物にとってのWell-beingをどれだけ重要視すべきなのか。事例をもとに議論しました。  

「人間の商品としての動物」という観点も、今年の注目された関係です。COVID-19によって人々の生活が苦しくなったことが要因で、アフリカでは密猟が大きな社会問題となりました。工芸品や医学的利用、食用肉としての流通が主な用途です。短期的な視点では政府やレンジャーのガバナンス・監視体制の強化が解決策としてあげられますが、そもそもなぜ絶滅の懸念がある中で「需要」がなくならないのか、長期的な視点で考える必要があることが大きな学びでした。    

また、日本(の都市部)に暮らす私たちにとって「人間の脅威としての動物」は、少し盲点となっていた視点でした。野生動物と近い距離で暮らす人々にとって、動物は「農作物を荒らして収入源を脅かす」「外傷を負う危険がある」「感染症を引き起こす」存在でもあります。人間が引き起こした生活圏の変化が要因になることも多いですが、動物保護の視点で殺傷を禁止することは人々の心理的物理的リスクを増やし、生態系の変化も引き起こしてしまう危険があります。数字や理論は重要ですが、歴史的に動物と共存してきた人々の行動や生活を、現場から距離のある人たちの「価値観」でジャッジしても良いのか。もやもやが残る議論となりました。  

【コメント】

まだまだ書ききれていないトピックや思いもありますが、レポートは以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。今後も、勉強会等で議論した内容をUSPに興味を持っていただいている方にシェアしていくことができればと考えています。引き続き、私たちの活動を応援していただけますと幸いです。(うめ)