第1章 はじめに
1.1 報告書の目的
本報告書は、2020年4月から2021年3月にかけて実施したウガンダ・スタディ・プログラム(以下、USP)の全体像を記したものである。本年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、当初2020年9月に想定していた現地渡航を延期せざるを得ず、予定通りの活動を行うことはできなかった。そのような状況下でも、USP参加者は、現地渡航ができない中でどのように学びを深めるか、チームビルディングを行うかなど知恵を出し合いながら活動をしてきた。執筆時点(2021年1月)では、2021年3月でUSP全体としての活動は終え、2021年夏に希望者を中心として現地へ渡航することを想定している。本報告書は2021年3月までのUSPの活動を報告するべく、その内容をまとめたものである。
後述するが、スタディ・プログラムには、(1)知識の習得と議論する力の獲得、(2)ネットワークの拡大、(3)リーダーシップの涵養、(4)国連の活動に関する議論の提供、という4つの目的があり、本報告書もその目的に資するものである。
- 報告書を執筆する過程で、これまで実施してきた勉強会やオンライン・ブリーフィングでの学びを統合し、消化・定着させる → (1)知識の習得と議論する力の獲得
- オンライン・ブリーフィングにご協力いただいた方々・機関へのお礼および、学びの報告 → (2)ネットワークの拡大
- 報告書の構成検討、執筆依頼、校正、アップロードという一連の過程を通したプロジェクト・マネジメント → (3)リーダーシップの涵養
- 報告書をウェブ上で公開し、国連フォーラムのメーリングリストを通して周知することによる、ウガンダおよび国連・国際協力に関する議論の場の提供 →(4)国連の活動に関する議論の提供
なお、2021年夏に現地渡航が実現した場合には、本報告書に現地渡航報告、および、その後の考察に関する内容を追加する予定である。
現地渡航ができないという例年とは異なる状況の中で、USP参加者がそれぞれに学びを深めるべく、試行錯誤を繰り返し、結果的に例年にない工夫が見られたことも事実である。とりわけ、現地で活動されている方々から、オンラインでじっくりとお話を聞き、質疑応答を行った「オンライン・ブリーフィング」の取り組みは、単にウガンダや国際協力に関する考察を深めるのみならず、オンラインで海外プログラムを実施するという新たな可能性を見出すことにも繋がった。また、オンライン・ブリーフィングを通じて、「現地でしか学ぶことができない内容」が各メンバーの中で明確になったことも有意義な点であっただろう。このように例年とは異なる学びを得たUSPの活動に関して総括することは、2021年夏に現地渡航が可能になるか否かに関わらず重要であると考え、本報告書を作成したのである。
1.2 インタビュー機関・アドバイザーへの御礼
先述のように、本年は新型コロナウイルス感染症の影響で、現地渡航がかなわなかった。しかし、第5章で詳細が示されるように、オンライン上でウガンダで活動されている方からお話を伺ったり、質疑応答を行ったりする貴重な機会を得ることができた。
皆さま、お忙しい中時間を割いてくださり、詳細に活動内容を説明していただいただけではなく、事前に集めた質問や当日寄せられた疑問にも丁寧にご対応いただいた。さらに、ブリーフィング後に生じた疑問に対してご回答くださった方もいらっしゃった。いずれのお話も大変興味深く、USP参加者からは、その後お互いの意見を共有して一層考察を深めたり、またもっと知りたい・学びたいと意欲を高めたりする姿もよく見られた。キャリア形成についても様々な助言を頂き、今後国際協力に携わりたいと願う参加者へ道標を示していただいた。何よりもお話いただいた皆さまの仕事に対する誇り、そして、ウガンダの人々に対する愛情を感じ、その情熱的な姿から今すぐにウガンダへ行きたいと思わされる場面も多かった。
不躾なお願いであったにもかかわらず、ブリーフィングをご快諾くださり、USP参加者に対して素晴らしい学びの機会を提供してくださった以下の方々に、参加者一同、心より感謝申し上げます。現地渡航がかなった際には、ぜひウガンダにてお目にかかれますことを楽しみにしております。
- Mulijo Wasike Shadraqueさん(在日本ウガンダ大使館臨時次席大使)
- 梅屋潔さん(神戸大学教授)
- 小向絵理さん(JICA国際協力専門員)
- Rachel Kibirigiさん・Barigye Doreenさん・Okiria Emmanuel Arikoさん(ABEイニシアティブ生)
- 森本真輔さん(元サラヤ・イーストアフリカ社長代行)
- Mwesigwa Geoffrey Philipさん(日本車輸出セールス・マネージャー)
- 内山貴之さん(JICAウガンダ事務所次長)
- 村橋勲さん(東京外国語大学特任研究員)
- 渡邊美月さん(在ウガンダ日本国大使館経済協力調整員)
- 杉木明子さん(慶応義塾大学教授)
- 藤田綾さん、宮崎充正さん(難民を助ける会(AAR Japan)ウガンダ事務所駐在員)
- 鈴木結衣さん(UNHCRウガンダ事務所 Associate Development Officer)
- 小川真吾さん(テラ・ルネッサンスウガンダ駐在代表)
- 三関理沙さん(エイズ孤児支援NGO PLAS海外事業マネージャー)
- 今村嘉宏さん、佐藤弘康さん、ルベガ・ロナルドさん(あしながウガンダ)
- 松浦みきさん(世界銀行 ガバナンスユニット ウガンダ担当)
- 山崎智美さん(ピースウィンズジャパン ウガンダ事業担当)
- G.M. Collinsさん(Saraya East Africa)
- 仲本千津さん(RICCI EVERYDAY代表)
- Innocent Fred Ejoluさん、他ウガンダ事務所のみなさま(UNDP Uganda)
- 松村拓憲さん、日野愛子さん、高井明子さん(Save the Children Japan)
- Agnes Aistleitnerさん (Senga Sourcing)
- 伊藤淳さん(元Courie Mate)
- 川口博子さん(京都大学)
※オンラインブリーフィング実施順
さらに、本プログラムを遂行するにあたって、時に厳しいご指摘を交えながらも、温かく活動を見守り、サポートをしてくださった、アドバイザーの田瀬和夫さん、吉村美紀さん、黒田和秀さんにお礼申し上げます。引き続き、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。