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カンボジア・スタディ・プログラム報告書(目次はページ下にあります)

第3章:現地プログラム

第3節:交流・ツアー
第2項:アンロンベンのタ・モク博物館見学(元兵士の方より施設の説明)

見学地のバックグラウンド

現地プログラム2日目の11月19日(月)10時頃、カンボジア北西部に位置するウドンメンチェイ州のタ・モク博物館を訪問しました。ポル・ポト派最高幹部の一人であったタ・モク将軍が1979年のクメール・ルージュ崩壊後から1993年の逮捕までどのように北部地域を支配及びコントロールしていたか、イアン博士らの案内のもと、元クメール・ルージュ軍兵士であった方から当時の様子、タ・モク将軍の人柄についてのお話を伺いました。

CSP参加者感想@:田中 陽一朗さん

タ・モク将軍の施設で元クメールルージュ(KR)兵の人からお話を伺い、自分が考えていたKRという組織は本当に一部だったと感じました。なぜなら、渡航するまではKRはジェノサイド等を行った非人道的な組織だと考えていたからです。もちろんポルポト派を良く書いたジャーナリストの本『わたしが見たポルポト』等を読んで、ポルポトが一部の人からは慕われていたことは知っていましたが、作者の心境があまり理解できませんでした。しかし、王のために兵士になったという話やKRの生活は良かったという話などを聞いて、KRの人々及びその周辺で暮らしていた人々の一部は慕っていたということを理解できるようになりました。ただ、ジェノサイドがあったことは事実であり、KRを慕っていた人々と被害を受けた人々の間でお互いを理解し、平和な社会を築くためには想像以上に複雑だと感じました。

 

CSP参加者感想A:藤田 綾さん

タ・モク将軍が、クメール・ルージュ(KR)の元参謀長官であったという歴史的事実しか知らなかったけれど、彼に仕えた兵士、つまりKRの当事者側から直接説明を伺ったことで、彼の性格やアンロンベン地域の発展への貢献を新たに知って意外性に驚いた。例えば、王への忠誠心から軍に入隊し、自身が片足に障害を抱えていたこともあり、差別をしない人格であったこと。輸入品よりも新鮮な食料を好んだため、兵士を動員してこの地域の多様な農業の整備や水利整備に尽力したこと。KRの犯した人道的な罪は重大でその裏側は評価されにくいからこそ一次資料は貴重であって、双方向あるいは多角的に評価をしていかなければならないと思った。

 

  
          


 


カバーページ
目次と第1章「はじめに」

第2章:渡航前事前勉強会
 第1節:第一回勉強会
 第2節:第二回勉強会
 第3節:第三回勉強会
 第4節:第四回勉強会

第3章:現地プログラム
 第1節:概要・全体マップ
 第2節:ブリーフィング
  第1項: アジア太平洋地域の食料安全保障について(FAOアジア太平洋地域代表兼事務所所長:小沼 廣幸さん)
  第2項:ユネスコの文化遺産保存と当該国への影響・意識について
      (元ユネスコ職員、JSPSバンコク事務所長:山下 邦明さん)

  第3項:MALISプロジェクト概要について(FAOカンボジア事務局プロジェクト・マネージャー:Iean Russell博士
  第4項:農民の収益向上への農協の取り組みについて(6名の農協運営メンバー)
  第5項:カンボジア特別法廷と国際刑事裁判について
      (UNAKRT捜査判 事部分析ユニット長:藤原 広人さん、UNAKRT広報官:前田 優子さん)

  第6項:警察訓練支援の人身取引取り締まり強化プロジェクトについて
      (カンボジア内務省長官兼LEAPプロジェクト議長:Prum Sokha内務省長官)

  第7項:カンボジアでの地雷問題と開発について(JMASカンボジア事務所:渕上 浩美さん)
  第8項: クメール・ルージュ政権下のジェンダーに基づく暴力被害者を対象としたプロジェクトについて
      (CDPコーディネーター:Savorn Duongさん)

 第3節:見学・ツアー
  第1項:世界遺産アンコール・ワット・バイヨン2時間遺跡巡りツアー(JASA広報担当:吉川 舞さん)
  第2項:アンロンベンのタ・モク博物館見学(元兵士の方より施設の説明)
  第3項:FAOが実施する保護池での魚の品種保護活動の見学(Iean Russell博士からの説明)
  第4項: かものはしプロジェクトのコミュニティーファクトリー支援活動の見学
      (かものはしプロジェクト現地駐在員:亀山 菜々子さん)

  第5項:UNESCO世界遺産候補サンボー・プレイ・クック遺跡ツアー(JASA広報担当:吉川 舞さん)
  第6項:キリング・フィールド見学
  第7項:トゥール・スレン虐殺博物館見学
 第4節:経験・交流
  第1項:アンロンベン地区における小学校の訪問(小学校の生徒約30人との交流)
  第2項:アンロンベン地区における稲刈り体験(村長の家で農村の人々約30名)
  第3項:クーレン地区での農村宿泊体験(水も電気もない村での宿泊)
  第4項:クーレン地区のヘルスセンター訪問(現地の医師・看護師とのQ&A)
  第5項:クーレン地区のフィールド・ファーマー・スクール訪問
      (フィールド・ファーマー・スクール実施者宅を訪問)

  第6項:オークルカエ村での農村宿泊体験(水も電気もない村での宿泊)
  第7項:「中田厚仁さん」の軌跡(通称“アツ村”に住む村人とのQ&A)
  第8項:CSP現地参加者全体でのディスカッション(現地渡航者25名によるディスカッション)

第4章:運営報告
 第1節:プログラム実行委員会組織概要
 第2節:プログラム策定
 第3節:ロジ手配
 第4節:会計報告
 第5節:現地での保健・健康状況
 第6節:参加者による事後アンケート内容と結果
 第7節:ソーシャル・メディアの活用とアウトリーチ
 第8節: 事後報告会の実施状況

第5章:次回に向けて

参考資料:
 表1:実行委員会組織図
 表2:プログラム作成プロセス一覧(概略)
 表3:現地手配詳細
 表4:CSP参加者アンケート集計結果(2013年1月作成)