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カンボジア・スタディ・プログラム報告書(目次はページ下にあります)

第4章:運営報告

第2節:プログラム策定

 

前回のスタディ・プログラムと同様、実行委員会の発足にあたっては、原実行委員会を立ち上げ、その後実行委員会を設立するという2段階のプロセスを設けた。

  1. 総括

プログラム策定部分の大きな流れは、策定チームのメンバー編成とその役割分担確定とに連動する形で動いていき、具体的には、プログラム参加者確定前の原実行委員会による原案検討段階(約5ヶ月間)とプログラム参加者とその役割分担確定後の検討・準備段階(約3ヶ月間)において、策定されていった。詳しくは後述の参照資料「表2:プログラム策定プロセス一覧(概略)」を参照いただきたい。

(1)原実行委員会による原案検討段階

昨年度のスタディ・プログラム企画・運営幹事を中心に構成された原実行委員会(11名)でまず行うのは、プログラム訪問国の決定である。@何を学ぶかというプログラム内容・目的の観点、A現地の受け入れ体制の観点、B実施時期や地理的な観点、C訪問国の政情や特定の状況(首脳会議の開催など)の観点D前回プログラムとの比較の観点から、総合的に検討して候補を絞っていった。ここでプログラム実施とその成否の決め手となるのは@とAであり、単純な興味関心から訪問したい国を決めるのではなく、訪問の具体的な目的や問題意識と現実的な実現可能性をしっかりと定めることが重要である。

今回の特徴としては、原実行委員のメンバーのうち2人と次の段階で策定チームに加わる参加者の1人が現地に在住・駐在していたことから、訪問先機関のみならず参加者メンバーも現地受け入れ体制の確保に大きく貢献していた点である。この段階で策定した原案は、プログラムの方向性と目的を踏まえ、ある程度の実現可能性(行程、ロジ、訪問先の候補、現地のサポート体制など)が見込まれるたたき台となっていた。

(2)参加者確定後の検討・準備段階

約2週間の参加者選考期間を経て最終的に確定したプログラム参加者(25名)とともに新しい役割分担を決定し、本格的なプログラム策定を開始した。「みんなでつくる」ことを方針とするスタディ・プログラムにおいては、前回の経験と今回特有の事情を踏まえて決定される役割分担とそのチームワーク、全体としての足並みを揃えることがプログラム策定過程での大きな鍵となっている。逆から言うならば、チームワークが最大限に発揮されるグループ・チーム分けと運営のしくみを整えることが重要である。

【グループ編成】

グループ名

グループの活動内容

運営グループ

全体の運営管理/名簿管理・調整

財務グループ

プログラム全体の予算決定/集金・出納・払戻

企画グループ

プログラム策定・ロジチーム/しおり作成チーム/補強チーム

研究・アウトリーチグループ

研究・勉強会チーム/広報・アウトリーチチーム

 

4つの各グループにリーダーと、各チームにフォーカルポイントを置き、役割分担に基づくグループ・チームごとの縦の動きと、各チームとの連携・調整という横の動きを同時進行で行い、総括としての実行委員長による定期的な全体チェックを引き締めポイントとすることで、全体としては各グループの主体的なチームワークを最大限に引き出せたといえる。

  1. 具体的な運営報告

(1)運営上難しかった点

  • プログラムの柱となるテーマが4つあったことで、多角的に学ぶことができる半面、プログラムを策定するうえでは、ロジとの関係で散漫な行程にならないようにすること
  • 複数にまたがる現地アポイントメントの調整
    • テーマと連動して複数に渡った現地の諸機関とのアポイントメント確定のための連絡業務、チーム・グループへの報告、全体プログラムへの反映と調整に時間がかかった点
  • チーム・グループ間での連携・連動
    • プログラム策定に時間がかかることで、しおり作成チームやオプション部分の行程や航空券の共同手配を担当する補強チームにも遅れを生じさせ、直前の最終確認や調整が大変だった点
  • 「みんなでつくる」運営原則を貫徹すること
    • 参加者アンケートを集約し、全体に反映させる過程、チームでの確認・協議事項がグループや全体に諮られる過程で意思決定に手間と時間がかかった
    • 主体的に率先して動くメンバーとそうでないメンバーがいた点

(2)工夫した点

  • メールベースで報告・連絡・相談を行う際のルールを定めたこと
  • 定期的なハングアウトによるミーティングで全体的な確認・決定を行ったこと
  • オンライン上で共有できるドキュメントツールなどを活用したこと
  • 必要に応じてコミュニケーションツールを使い分けたこと
  1. 今後の課題と提案
  • プログラムのテーマ決定の段階で、現実的な実行面の観点からも検討し、場合によってはテーマを絞る必要性を考慮すること
  • プログラムの目的や参加者の意向を重視することと現実的な安全面上の配慮や責任の所在との関係においてバランスを考えること
  • 「みんなでつくる」運営原則は維持しながらも、リーダーに一定の決定権を与える、参加者全員の同意を得る事項を選別するなど、意思決定プロセスを改善する
  • 参加者間のコミットメント度合いの差をどう考えるかは引き続き課題
  • プログラムの成否にかかわる現地ロジ部分での関係者間との打ち合わせ、契約の締結を含めた合意の形成を早い段階で固めること
  • どの時期に何を終えておくべきか、逆算した計画をより綿密に立てること

 



カバーページ
目次と第1章「はじめに」

第2章:渡航前事前勉強会
 第1節:第一回勉強会
 第2節:第二回勉強会
 第3節:第三回勉強会
 第4節:第四回勉強会

第3章:現地プログラム
 第1節:概要・全体マップ
 第2節:ブリーフィング
  第1項: アジア太平洋地域の食料安全保障について(FAOアジア太平洋地域代表兼事務所所長:小沼 廣幸さん)
  第2項:ユネスコの文化遺産保存と当該国への影響・意識について
      (元ユネスコ職員、JSPSバンコク事務所長:山下 邦明さん)

  第3項:MALISプロジェクト概要について(FAOカンボジア事務局プロジェクト・マネージャー:Iean Russell博士
  第4項:農民の収益向上への農協の取り組みについて(6名の農協運営メンバー)
  第5項:カンボジア特別法廷と国際刑事裁判について
      (UNAKRT捜査判 事部分析ユニット長:藤原 広人さん、UNAKRT広報官:前田 優子さん)

  第6項:警察訓練支援の人身取引取り締まり強化プロジェクトについて
      (カンボジア内務省長官兼LEAPプロジェクト議長:Prum Sokha内務省長官)

  第7項:カンボジアでの地雷問題と開発について(JMASカンボジア事務所:渕上 浩美さん)
  第8項: クメール・ルージュ政権下のジェンダーに基づく暴力被害者を対象としたプロジェクトについて
      (CDPコーディネーター:Savorn Duongさん)

 第3節:見学・ツアー
  第1項:世界遺産アンコール・ワット・バイヨン2時間遺跡巡りツアー(JASA広報担当:吉川 舞さん)
  第2項:アンロンベンのタ・モク博物館見学(元兵士の方より施設の説明)
  第3項:FAOが実施する保護池での魚の品種保護活動の見学(Iean Russell博士からの説明)
  第4項: かものはしプロジェクトのコミュニティーファクトリー支援活動の見学
      (かものはしプロジェクト現地駐在員:亀山 菜々子さん)

  第5項:UNESCO世界遺産候補サンボー・プレイ・クック遺跡ツアー(JASA広報担当:吉川 舞さん)
  第6項:キリング・フィールド見学
  第7項:トゥール・スレン虐殺博物館見学
 第4節:経験・交流
  第1項:アンロンベン地区における小学校の訪問(小学校の生徒約30人との交流)
  第2項:アンロンベン地区における稲刈り体験(村長の家で農村の人々約30名)
  第3項:クーレン地区での農村宿泊体験(水も電気もない村での宿泊)
  第4項:クーレン地区のヘルスセンター訪問(現地の医師・看護師とのQ&A)
  第5項:クーレン地区のフィールド・ファーマー・スクール訪問
      (フィールド・ファーマー・スクール実施者宅を訪問)

  第6項:オークルカエ村での農村宿泊体験(水も電気もない村での宿泊)
  第7項:「中田厚仁さん」の軌跡(通称“アツ村”に住む村人とのQ&A)
  第8項:CSP現地参加者全体でのディスカッション(現地渡航者25名によるディスカッション)

第4章:運営報告
 第1節:プログラム実行委員会組織概要
 第2節:プログラム策定
 第3節:ロジ手配
 第4節:会計報告
 第5節:現地での保健・健康状況
 第6節:参加者による事後アンケート内容と結果
 第7節:ソーシャル・メディアの活用とアウトリーチ
 第8節: 事後報告会の実施状況

第5章:次回に向けて

参考資料:
 表1:実行委員会組織図
 表2:プログラム作成プロセス一覧(概略)
 表3:現地手配詳細
 表4:CSP参加者アンケート集計結果(2013年1月作成)